研修内容
FactoryPhysics
Factory Physics(FP)とは
簡単な答えは,FPとは製造システムの動きをシステマチックに観察することであり,製造システムを動かすときの原理原則を以下の3つの視点で学習することである.
- 現状システムの改善点を見つける視点.
- 新しい効率の良いシステムを構築する視点.
- 各独立したプロセスにおけるトレードオフ関係を見つけ,調整し,運営を最適にする視点.
一歩踏み込んだ答えは,対象,目的,方法,および応用に分けて説明することができる.
- 対象:製造管理をよりよくするための活動
- 1929年の農業労働者29%,1985年の農業人口3%(自動化と大農業)
- 1950年の製造業労働者50%,1985年の製造労働者20%(NC機械など自動化)
- サービス産業など付加価値の高い産業に労働者が移る.
- 製造業が海外に移転しているが,関連する業務も移転してしまう可能性が高い.例えば,デザイン,労務管理,在庫サービス,会計サービス,金融と保険,朱里と保全,トレーニングと採用,試験サービスと試験室,産業廃棄物処理,円ギニアリング補助,調達物流,などなど.
- 製造業の生産性を高めれば,製造業の海外流出を食い止めることができるので,関連する業務も国内に残る.
- 80年代,本書を執筆し始めた時からアメリカの製造業は頑健ではなかった.もろかった.輸入品の増加により(例えば日本から),アメリカの貿易赤字は増え,一番大きい債務国になった.特許を外国にもっていく(売る)のが多くなり,アメリカの製造業を脅かした.
- 1985年から1994年までアメリカの製造業は復活し,65%の収益向上を実現した.(1997年商務省の報告書).ただ,グローバル競争は激しくなった.QCDなど総合的に優秀な企業しか生き残ることができないような時代になっている.(注:日本やほかの国からのいい部品を調達して完成品を作っているのはアメリカ企業ではないか?グローバル調達をうまく利用したのはアメリカ企業である)
- グローバル競争に生き残るためには進化し続けなければならない.進化のペースが競われているのである.
- 目的:オペレーション・マネジメント(OM)
- Big M:広い意味での製造は,製品デザイン,工程設計,製造方法設計,能力計画,製品の部品構成,製造計画(plant scheduling),品質管理,労務管理,設備管理,製造戦略,SCM,工場の連携と同期化,ダイレクト製造(MTO)
- Small M:カット,曲げる,穴あけなどの部品加工,および製品の組み立て
- オペレーションの意味は広い.製造では,生産制御,工程管理,IE,計画など製造に関連する各種アクティビティ.例えば,製造計画,設備管理,能力計画など,製品を製造して出荷するまでのすべての活動を含む.
- 本書でのOMは製造に限定したもの.サービスや組織マネジメントの一般論ではない.製造におけるOMはより技術的内容を含み,アートではなく,サイエンスに近い.製造における競争の激化とともに,顧客の品質に対する要求やアフターケアーの要求は厳しくなっており,新製品開発競争も激しくなっているので,製造システムを統合的に管理しなければならなくなり,無駄な在庫を置いてシステム内部に介在する不確実性に対処することはできなくなっている.つまり,製造システムの体力が問われるようになっているので,このような問題に対処するためにはより科学的アプローチが求められている.
- トヨタは分単位での工場管理を行っており,改善を通じてコストを継続的に下げ,品質を継続的に上げている.コストを下げるためにはあらゆる部門の努力が求められる.労務費用も,材料費用も,設備費用も,間接費用も同時に削減しなければならない.品質はアメリカ優位であったが,外からの評価だけだったために,不良品を最終製品から除けばよいと考えていた.しかし,トヨタでは源流管理を行い,品質を工程で作りこむ活動を行い,そもそも不良品を作らないような管理方式,間接部門を含めたTQMを展開した.そして時間競争でもトヨタは優位を確立した.新製品開発サイクルを短くし,次々と新しいモデルを市場に導入しただけでなく,頑健な製造システムのサポートの下で,約束した納期を絶対守るようにした.しかも,完成品在庫はゼロ,部品在庫水準も最低水準に下げながらそれを実現した.
- QCDはともに重要であるが,産業や製品によって重きが異なる.成熟した技術を用いた部品加工ではコストが強調され,高級時計などは品質が強調されるなど.
- 方法:
- ベストプラクティスを真似することで自社がよくなるとは思わないほうがよい.
- はやりの言葉で問題解決はできない.例えば,MRP,JIT,TQM,BPR,TBC(Time Based Competition).本質を知らずにこれらの言葉に踊らされると失敗する危険性がある.
- コンサルタントを使うことは悪くはないが,半分正しいとしか言えない.コンサルタントは製造企業の問題点にたいして身をもって体験していために,組織の中の問題をすべて把握することはできない.したがって,コンサルタント任せにすると歪な製造システムになりかねない.いくら先進的な設備を使うようにしても,それが企業の現状と将来の発展にマッチしなければ,結局QCDの競争力は上がらない.
- 正しい方法はなにか?正しい方法はどのような方法を導入するより,どのように問題を発見し,問題を解決するかを考える力を養成することである.向かう方向が同じであっても,ゴールが同じであっても,企業がおかれている現状はそれぞれ異なり,したがって,アプローチも異なるはずである.ただし,原理原則は同じであるので,問題をしっかり分析できる各種方法論,モデルを身に着ける必要がある.原理原則が分かれば,現場の問題を正しく分析でき,問題解決方法を創造的に考案することができよう.
- 製造管理には知識ベースがある.物理学の知識ベースと同じように.本書では製造における科学的原理を掘り下げることを目的とする.製造の科学,製造の法則(Manufacturing Science, Manufacturing Law)に対して事例を用いて解説する.本書の第一の目的は,これらを理論体系として解説し,それを異なる問題に提供できるようにすることである.また,第2の目的は,エビで鯛を釣ることである.つまり,本書で紹介した理論体系をさらに発展してくれることを期待している.Factory Physicsを使う理由は,短期的でテクニカルな手法を紹介するものではないことを強調するためであり,製造における原理原則を明らかにすることを強調するためである.
- 原理原則は3つの要素で構成する.1番目に問題発見と解決の枠組み,2番目はテクになるアプローチ,そして3番目に直観的見方を養成することである.物理学の原理原則を学ぶと,各種物理運動に対して,直観的にそれの背後にある理由を説明できるようになるのと同じように,製造管理においても原理原則を多く知っていれば,現場で起きる問題をより深く,直観でその理由を説明できるようになる.特に,現場で瞬時に意思決定を行わなければならない管理者にとっては,この直観こそ正しい意思決定を行う武器であるともいえる.
- 応用:製品と製造システムには強い関係がある.横軸に生産量,縦軸に生産形態をとると,単品の機械製造にはジョブショップ型製造がマッチングし,大量連続生産ではプロセス生産がマッチングする.
- ジョブショップと単品(オーダーメード)
- 非連続なフローショップと変種変量(少量,中量)
- 連続なフローショップとロット生産(中量,大量)
- プロセス生産とバッチ生産(大量)
プログラム名 | FactoryPhysics(工場物理学)から学ぶ経営工学 |
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プログラム概要 |
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想定受講者 セグメント |
経営者・企業役員・管理職 |
想定受講者の 前提知識 |
前提知識 |
受講後の姿 | FactoryPhysicsに詳しくなってます |
料金体系 | プログラムへのご参加:120,000 円 |
開催形式 | Zoomによるオンライン |
期 | 開催日 | 申込状況 |
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第0期 |
2021年3月上旬~4月下旬 |
受付終了 |
第1期 |
2021年5月上旬~7月下旬 |
受付終了 |
第2期 |
2021年10月上旬~12月下旬 |
申込受付中 |